腰痛の診断と治療– WAIST –

ぎっくり腰(急性腰痛)・腰痛治療詳細

ぎっくり腰(急性腰痛)とは、病名ではなく、急に腰痛が起こったという発症状態をいいます。

物を持ち上げた時や急激な体位変換の際に、ぎくっと突然腰痛が起こったり、腰の筋肉が板のように硬く突っ張って動きが悪くなったりなどの症状を起こします。

ぎっくり腰には、急に激しい痛みが発生し、全く動けなくなる場合や、始めは鈍い痛みでも、時間の経過と共に痛みが強くなり、身動きが困難になる場合もあります。

ぎっくり腰(急性腰痛)の原因は

以下のような動作で急に「ギクッ」と発症されています。

ぎっくり腰(急性腰痛)の原因

  • 中腰で荷物を持ち上げた際
  • 物を高い所に上げようとした際
  • 物を持って腰をねじった際
  • 床から物を拾おうとした際
  • 布団を上げようとした際
  • 中腰になって靴下をはく際
  • 顔を洗うために腰をまげた際
  • スポーツ時に急激な体位変換をした際

三愛治療室での診断と治療

患者様の症状にあった方法で、可能な限りの綜合的診断と治療を第一としております。

A問診による病歴聴取

発症原因、 いつから、 何をして、 どこが、 どのように痛いか等をお聞きします。

B

視診による身体や骨盤の
歪みや動きを観察

現在の身体の状態を確認していきます。

C

理学検査
(マッケンジー法の根幹)

身体の運動分析による、動きの範囲や痛み、放散痛の悪化軽快をチェック。
●脊柱の可動性検査では、以下のような内容を確認していきます。

  • ・前屈可動性検査・・・・・・身体を前に曲げると痛みは?
  • ・後屈可動性検査・・・・・・身体を後ろに反らせる痛みは
  • ・側屈可動性検査・・・・・・身体を左右に倒すと痛みは?
  • ・回施可動性検査・・・・・・身体を捻ると痛みは?
  • ・骨盤可動性検査・・・・・・腰より下方の骨盤部に痛みは?
  • ・下肢への放散痛・・・・・・殿部や下肢の方に痛みや痺れは?
D

神経学的検査-知覚異常、
反射力、伝達度

知覚異常、反射力、伝達度を調べていきます。 皮膚の近くに異常がないか?神経の伝達に障害がないか?神経反射の状態などを調べていきます。

E筋力バランスの検査と治療

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)が、痛み歪みの原因と考えられる症例が非常に多いマスターするには時間が掛かりますが、 筋力の検査と治療術を習得してからは治療効果が飛躍的に向上するようになった優れた検査法&治療法です。

F

マッケンジー法とトリガー
ポイント療法の触診と治療

関節、神経、筋肉の機能検査と治療反応を診ながら必ず治療前より軽快されるような施術を心掛けております。

患者Aさん(40才男性)の症例を再現してみましょう。

「マッケンジー法とトリガーポイント療法による症例報告」

主訴: 腰から左下肢の後ろ側が痛い

現病歴

A・問診による病歴聴取

三年前に庭石を動かした際にぎっくり腰をやった。 その時は整形外科を受診してX線の結果、骨に異常はないと言われ、ホットパックとけん引治療及び注射、飲み薬、湿布薬にて一週間位で治った。 その後、腰の疲れた日は、子供に背中を踏んでもらったり湿布薬を貼ったりしていた。

今回は、二日前の朝、スコップで雪を投げる際に急激に腰に痛みが走り身体を傾けて歩くようになった。 その晩は入浴後、湿布をして早目に布団に入った。昨日は整形外科へ行き、X線の結果は骨に異常はないが、椎間板ヘルニアの疑いがあると言われた。 そして注射と湿布薬、飲み薬をもらい帰宅後自宅にて安静にしていた。が、今朝隣人に三愛治療室を勧められ来院された。

腰から左の殿部及び下肢の後ろ側と下腿の前側が痛いと訴え、安静時や夜間時には身体を動かさなければ痛くはないが、 寝返りが痛く、布団から自力で起き上がれないので妻の手を借りて起き上がる状態であるとのこと。

立ち座りが痛く、待合室では立っている方が楽だと言う。靴下やズボンをはくのも痛い。 咳やくしゃみをすると腰から殿部に響く。排尿排便に異常はない。腰から左下肢にかけての痛み以外は気になる症状も持病もない。 普段は、薬も栄養剤も飲んでいない。大きな手術や入院などの病歴もない。

所見

Bー視診による身体や骨盤の歪みや動きを観察
● 視診及び触診上、身体を右に傾けている。腰部の前弯も減少している。 ● 背骨の階段変形(脊椎すべり症の有無をみる)は認められない。

Cー理学検査
● 前屈時と後屈時に動きの制限と左下肢への痛みがある。 ● 右への側屈時は痛くはないが、左への側屈が痛く左下肢の方へ痛みが放散する。 ● Kempテスト(身体を左斜め後方に倒す)と左殿部から下肢へ痛みが響く。

Dー神経学的検査-(知覚異常、反射力、伝達度を調べる)
● 膝蓋腱反射に左右差はないが、アキレス腱反射は左側が減弱している。 ● SLRテスト(下肢伸展挙上テスト・椎間板ヘルニアの存在をみる)は、左下肢が30度位で痛みと制限がある。

Eー筋力バランスの検査
● 左の大腰筋、大腿屈筋、左母趾の背屈力が低下している。

上記の結果から

● 発症が急性起点であること、安静時や夜間痛がないことから、内臓性腰痛や重篤な疾患の可能性は低いと思われる。

● 腰から下肢への痛みの様相、疼痛性の側弯、咳やくしゃみでの放散痛、運動制限及び運動痛の様相、SLRの陽性、アキレス腱反射の減弱、 筋力の低下などの所見から、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)を含有する椎間板ヘルニアよる坐骨神経痛が推測される。

治療の要諦

Fーマッケンジー法とトリガーポイントの触診と治療

● 鍼灸、TPの重要経穴(ツボ)
大腸兪、関元兪、殿圧、殷門、足三里

● 神経調整
坐骨神経支配の筋力を検査治療、鍼灸治療を腰部、坐骨神経ブロック点に施術鎮痛を図る。

● 筋肉調整
腰部、殿部、大腿部、下腿部のトリガーポイントに、トリガーポイント療法をおこなう。

● 関節調整
腰部の後方Derangement をマッケンジー法にて調整。 股関節、膝関節、足関節の関節機能障害も徒手調整する。

● ホームエクササイズ
後方Derangement syndrome(偏位症候群)に 対しての、伏臥位での伸展運動を指導した