マッケンジー法とは– MACKENZIE –

マッケンジー法は 週刊誌や健康雑誌等において、紹介されることが多くなりましたが、 専門家向けには、1985年にMCKENZIE腰痛治療法が発行(医歯薬出版、下段に掲載)された後、医学専門誌にも数多くの臨床報告がされてきたものです。

マッケンジー法とは

ニュージランドの理学療法士、ロビン・マッケンジーによって開発発展、世界27ヵ国に普及してきた、力学的作用を利用した診断と治療法(MDT)です。

1956年ニュージランドのウェリントンで開業していたロビン・マッケンジーの診療室へ訪れた腰痛の患者さんが短時日に劇的に改善されたことが考案のきっかけでした。

スミス氏というその患者さんは、右側の下部腰椎に疼痛を訴えると共に、殿部から膝まで広がる激痛に苦しんでいました。

マッケンジー氏は、一般的な治療法である温熱療法と超音波療法を3週間続けましたが、一向によくなりません。患者さんは、前かがみで歩けても、背中を伸ばしては立つことも歩くことも出来ない状態でした。

ある日、スミス氏は水平に戻すのを忘れたベッドで指示されたまま、うつ伏せで、背中を反らせた状態で5分間程休んでいました。

そこへ治療の為に部屋に入ったマッケンジー氏は、最も悪い姿勢だと言われていた背中を反らせて寝ているスミス氏に驚き、恐る恐る調子はどうかを尋ねました。

すると驚くことに、「この3週間の中で最も調子が良い、膝までの痛みは消え、右側の腰痛も中央に移動した」と言い、さらに、起きてみたところ、背中を伸ばして立つことも出来たのでした。

翌日も同じ姿勢で寝かせてみたところ、残っていた症状が全て取り除かれたのでした。

その後様々な試行錯誤を繰り返しながら発展して来たのが、マッケンジー法と呼ばれている、新しい力学的作用を利用した診断と治療法(MDT)です。

最近のマッケンジー法

国際マッケンジー協会日本支部が主催する講習会には、三愛治療室からも受講しており、またマッケンジー法の多数の蔵書と永年の臨床経験があります。

書籍だけでは不明又は効果の思わしくない場合は、三愛治療室にて実際の治療と指導お受け下さい。より良い治療効果を出す事ができます。

注意すべき点は、マッケンジー法=腕伸ばし腰反らし(伸展運動)ではないこと。重要なことは、症状の和らぐ運動方向は,伸展か屈曲か側方かを見極めて適応するマッケンジー体操をすること。姿勢の矯正も大変重要なことです。

マッケンジー法は、効く治療法ではなく効かす治療法であるといえます。

マッケンジー法による腰痛の病態分類と治療法

1.Derangement syndrome(偏位症候群)
椎間板や椎間関節の歪みを原因とする症候群 ・治療は、椎間板や椎間関節の偏位を矯正し正位化する。 ・当院では、専用の矯正ベッドにより矯正する。 ・エクササイズは、必ず痛みを緩和する方向への体操を行う。

2.Dysfunction syndrome(機能障害症候群)
軟部組織の短縮、拘縮を原因とする症候群 ・所謂、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)である ・治療は、マッケンジー法とトリガーポイント法で治療をする。 ・エクササイズは、短縮、拘縮した筋筋膜を伸ばす方向へ行う。

.Postural syndrome(姿勢症候群)
日常生活での不良姿勢を原因とする症候群 ・治療は、背骨のS字状への矯正と正しい姿勢の指導。 ・エクササイズは、正しい姿勢を習得するためのsluch-overcorrect法を行う。

4.Others(上記3つに当てはまらない病態)
治療は、病態により最適な方法を提供。もしくは、専門医への紹介。

マッケンジー法のホームエクササイズ

回数はおおよその目安です。その日の体調にあわせて調整してください。

  1. 腹臥位で深呼吸・・・・・・・・・・2-5分間×6-8セット/日
  2. 腹臥位で肘立て腰反らし・・・・・・2-5分間×6-8セット/日
  3. 腹臥位で腕伸ばし腰反らし・・・・・10回×6-8セット/日
  4. 立位で伸展運動・・・・・・・・・・5-10回×6-8セット/日
  5. 仰臥位で屈曲運動・・・・・・・・・5-6回×3-4セット/日
  6. 座位で屈曲運動・・・・・・・・・・5-6回×3-4セット/日
  7. 立位で屈曲運動・・・・・・・・・・5-6回×3-4セット/日
  8. 踏み台で屈曲運動・・・・・・・・・5-6回×3-4セット/日

マッケンジー法による日常生活の注意点

マッケンジー法では、日常生活での注意点(マッケンジー法による)をそれぞれの患者様に指導致します。

  1. 正しく立つには
  2. 正しく座るには
  3. 正しく物を持ち上げるには
  4. 咳やくしゃみをする時は
  5. スポーツ後の休息法は
  6. 就寝、起床時には
  7. ぎっくり腰時の応急処置は
  8. どんなエクササイズを行えばよいか
  9. エクササイズでよい効果が出ない場合は
  10. 再発を予防するには

マッケンジー法まとめ

マッケンジー法、力学的作用を利用した診断と治療法(MDT)です。患者さん自身によるマッケンジーエクササイズという自己治療法と、姿勢の矯正や日常生活動作の自己管理法を指導することを体系化したものです。

マッケンジー法を紹介した雑誌や書籍を参考に自己治療を行ってみて効果がよく現れない場合には早目に、三愛治療室へご来院下さい。

三愛治療室では、特殊屈伸ベッドで適切な治療を施し、患者さん個々に必要なマッケンジー体操&他諸々を指導致しております。

三愛治療室におけるマッケンジー法の参考文献の一部